からくり技術研究所では、「ロボット製作に使える機械工学のメカニズムを実際に動かしてみよう!」ということで、地道に短めの記事でやっていくコーナーです。
主に、ロボット製作で使うための機械的な仕組みを実際に作って、動かして、測定してみます。
この連載記事では、タミヤ模型さんの「楽しい工作キット」をメインに使って仕組みを組み立てています。
気になる方は、次の記事で楽しい工作キットを紹介していますので合わせてご覧ください。
今回は「平行リンク」を使ったロボットアームの上下運動についての記事です。
リンク機構ってなんだ?
例えば、四角形のリンク機構は「電車のパンタグラフ」
みたいなものだな。
リンク機構は、回転運動を直線運動にするなど、入力動作を異なる
動作に変換するために組み合わせた機械要素だ。
みたいなものだな。
リンク機構は、回転運動を直線運動にするなど、入力動作を異なる
動作に変換するために組み合わせた機械要素だ。
ロボットアームの上下運動で使うとは
イメージがわかないな。。
イメージがわかないな。。
色々な例を見ていくことにしよう。
まずは作ってみよう
とりあえず、四角形の平行リンク機構を作ってみましょう。
準備した4本のアーム部品を結合し、四角形を作ってみます。次の写真のように組んでみます。
(ユニバーサルアームセットを4本と、プッシュリペットを準備します。長さは任意です。)
(ユニバーサルアームセットを4本と、プッシュリペットを準備します。長さは任意です。)
1
材料の準備
・ユニバーサルアーム×4本
・プッシュリペット×4セット
材料の準備
・ユニバーサルアーム×4本
・プッシュリペット×4セット
プッシュリペットの穴のあいたほうを結合部に差し込む
穴にピンになっているものを差し込んで固定する
4本のアーム部品をそれぞれ固定し、四角形を作る
穴にピンになっているものを差し込んで固定する
4本のアーム部品をそれぞれ固定し、四角形を作る
2
各アーム部品の端をプッシュリペットでつないでいき、四角形になるように組み立てます。
各アーム部品の端をプッシュリペットでつないでいき、四角形になるように組み立てます。
作成したものの結合部のうち1点と接合する一辺を手で固定し、もう一方のアームを動かします。
そうすると固定した結合部の対角側の点も動いているのがわかります。
ここで大事なのは、ある一つの点を固定してその点につながる辺を動かすと、固定した点の反対側にある点が動くことで、接する辺の角度を変化させることができるというところです。
例では簡単にするため4辺の長さを同じにして、一辺を固定しています。
皆さんがイメージされた通りに動いたでしょうか?
ロボットアームとして考えてみると・・・
それでは、平行リンク機構をロボットアームとして使う場合を考えていきましょう。
前述の例では、単純な四角形を使いましたが、ロボットアームとして使うために形を変えます。
四角形(4点の平行リンク)の構造は残しつつ、次のようなに変えてみます。
先ほどとは、各アームの長さを変えているだけです。
また、赤い点を固定点として、残りの青い点は動くイメージです。
点O(赤い点)を固定点とし、点Pをロボットアームの指先と考えると線AおよびBの地面との角度α、βを変えることで点Pの位置を変えることができそうです。
そこで、点Pの位置(x, y)を式で表すと次のPoint①になります。
では、Point①の式を使って、ロボットアームの指先が点P(x , y)にあるときの角度α、βを求めます。
では、Point①の式を使って、ロボットアームの指先が点P(x , y)にあるときの角度α、βを求めます。
ふぅーちょっと疲れましたね。
でもこれで自分の持っていきたい位置にロボットアームの指先である点Pを動かすことができそうです。
でもこれで自分の持っていきたい位置にロボットアームの指先である点Pを動かすことができそうです。
ちなみに角度αとβを0~90度まで変化させた場合の点Pの位置をプロットすると次のようになります。
(A=10、B=5、C=15の場合)
(A=10、B=5、C=15の場合)
でも、リンク機構だけでは動きが平面的じゃない?
そうです。
先ほどの仕組みでアームっぽいものができますが、動きは二次元になっています。
そこで固定点を中心にリンク機構を回してみてはどうでしょうか。回転の中心はY軸としてxz平面で表します。
※次の図の左図のようにz軸を追加して図を真上から見るとxz平面(右図)になります。
この時の指先の位置を点Qとして計算したいと思います。
ちなみに角度α、β、σを変化させた場合の点Pの位置をプロットすると次のようになります。
(A=10、B=5、C=15の場合)
(A=10、B=5、C=15の場合)
これで、リンク機構を使ったロボットアームの制御ができそうです。
次回は、この記事で求めた式を使って、実際のロボットアームを制御するための準備をしたいと思います。
お楽しみに!!
この記事で使用した工作キットをご紹介します。試作するときにいろいろ便利なグッズですよ!
タミヤ:楽しい工作シリーズ
今回は「ユニバーサルアームセット」と「プッシュリペット」を使いました。このセットは、穴の開いた細長い棒のような平面プレートが4枚と直角に設置する際の部品4つなどが付属しています。はじめはこのセットを購入することを推奨します。アームが足りなくなったら、「ロングユニバーサルアームセット」を購入しましょう!
ユニバーサルアームセット
タミヤ 楽しい工作シリーズ No.143 ユニバーサルアームセット (70143)
長さ170㎜のユニバーサルアームが4本入ったものです。初めての購入に最適なセットになります。
セットには色違いのものもあります。先述のとおり、カッターとニッパーがあれば、切り出し、切断が可能なので長さを自由に変えることができ、ねじ止めする箇所を5㎜間隔で設けられた穴から選択して組んでいけるため、自由度が高いです。切断部分は、紙ヤスリなどで研磨してきれいに加工することができます。
長さ170㎜のユニバーサルアームが4本入ったものです。初めての購入に最適なセットになります。
セットには色違いのものもあります。先述のとおり、カッターとニッパーがあれば、切り出し、切断が可能なので長さを自由に変えることができ、ねじ止めする箇所を5㎜間隔で設けられた穴から選択して組んでいけるため、自由度が高いです。切断部分は、紙ヤスリなどで研磨してきれいに加工することができます。
<含まれるもの>
・ユニバーサルアーム(170㎜)
・直角パーツ
・スペーサ
・ネジ、ナット類
・ユニバーサルアーム(170㎜)
・直角パーツ
・スペーサ
・ネジ、ナット類
プッシュリペットセット
タミヤ 楽しい工作シリーズ No.155 3mmプッシュリベット (70155)
ユニバーサルアームを接続するためのリペットです。プラスチック素材なので軽く、動かす部分に使うと便利です。かなり便利なので、一度使うとやめられないものがあります。(ねじ止めは面倒です・・・)Amazonで確認
ユニバーサルアームを接続するためのリペットです。プラスチック素材なので軽く、動かす部分に使うと便利です。かなり便利なので、一度使うとやめられないものがあります。(ねじ止めは面倒です・・・)Amazonで確認