からくり技術研究所では、「ロボット製作に使える機械工学のメカニズムを実際に動かしてみよう!」ということで、地道に短めの記事でやっていくコーナーです。
主に、ロボット製作で使うための機械的な仕組みを実際に作って、動かして、測定してみます。
この連載記事では、タミヤ模型さんの「楽しい工作キット」をメインに使って仕組みを組み立てています。
気になる方は、次の記事で楽しい工作キットを紹介していますので合わせてご覧ください。
今回は「平行リンク」を使ったロボットアームの製作記事です。
どのような構造がよいのかの?
回転させる部分が必要だな。
サーボモーターの回転軸をきちんと合わせる
ことを優先したい。
構造を考えていきたい。
ロボットアームって夢ふくらむ!
※完成イメージを画像編集で合成してみました(笑)
まずは、アームの回転部分から
- アームの総重量が載ってもスムーズに回転できる
- できる限りシンプルな構造にする。
アームの総重量が載ってもスムーズに回転できる
昔よく連れて行ってもらった中華飯店の円卓を覚えていますか?
円卓の上にあるターンテーブルです。
上下2枚の板の間にいくつかの玉が挟まっていて、上部にものを置いてもその重量がターンテーブル全体に分散され、玉が入っているので回転方向にはスムーズに動く。
今回は、このターンテーブルを使ってみます。
ターンテーブル自体は、いろいろなサイズが販売されていて、ホームセンターにも置いてあります。
当サイトで使用しているものは、ホームセンターでたまたま見つけた外寸(76×76㎜)のものです。机の上に置いて試作するには、このくらいに抑えないと正直しんどいですね。
名前は「回転盤」というそうです。
Amazonだと以下のものが同じサイズ感ですね。。
回転盤
できる限りシンプルな構造にする
回転盤は内部が円形にくりぬかれているので、そこからサーボモーターを上に向けて出して、上部の構造に取り付けることを考えます。
そのため、サーボモーターの大きさ分だけ下にスペースが必要なので回転盤の下に支える構造を持った、サーボモーター取付部分を作ります。
イメージは次のような構造です。
四本の支柱で上部の回転盤を支えます。
また、回転盤の下板にある四隅の穴とねじ止めをするための穴を支柱につけました。
中央には、サーボモータの回転軸が構造の中心に来るようにサーボモーター支持体をつけています。
※サーボモーター支持体の高さは、右図のように回転盤を置いた際にサーボモーターと回転盤の上にのせる板をねじ止めできるように支柱よりも低く設定しています。
(このあたりは、各部品のサイズによって微妙に変わるので微調整はワッシャーやスペーサなどで調整します。)
平行リンクを構成する上部構造
次に、平行リンク機構を持つ上部構造を考えます。
上部構造には、平行リンクで制御する(α、β)の2つの回転角度用のサーボモーターを取り付ける必要があります。
そこで以下の2点を重視していきます・
- 2つのサーボモーターの回転軸を合わせる
- アームの長さを変更できるようにする
2つのサーボモーターの回転軸を合わせる
前回までの記事で回転角度(α、β)は、同じ原点を使用したものでしたので、次のようにサーボモータの回転軸を合わせるような構造にしました。
また、サーボモーターの回転軸は、板の中心点を通るように配置しました。また前述の回転盤下にあるサーボモーターの軸を板の中心点になるようにしました。
アームの長さを変更できるようにする
平行リンクを構成するアームの長さを変えて試すことも視野に、アームの取付用パーツを作り、サーボモーターに取り付けます。
取り付け用パーツには、タミヤの楽しい工作シリーズのユニバーサルアームが入るようにしました。
最後に全体を合わせる
前述の平行リンク機構を持つ上部と回転構造を持つ下部を組み合わせます。
次のような構造になります。
あとは、指先となるアーム部分をつければ、完成です!(笑)
さあ、パーツはどうやって作るか。。
設計はできたので、あとはパーツを作るだけですね。。。
さあ、どうしたもんか。
プラ板などからつくるには、構造が複雑で強度も必要なので。。。
秘密兵器を使うか。。。
時間はかかりますが、3Dプリンターを使って部品を印刷してみました。
私は、「Original PRUSA i3 Mk3+」を使用しました。
このあたりの詳細は、別の記事でご紹介しますが、自分で組み立てたんです。。。
これまでお見せしたCADをベースに3Dプリンタ用のスライスソフトに入れて印刷データに置き換えます。
「Original PRUSA i3 Mk3+」と同じ会社が提供しているスライスソフトを使いました。
下部(回転盤支持体)
印刷時間(2h42m)SPEEDモード
上部(平行リンク取付部分)
印刷時間(2h11m) SPEEDモード
アーム取付部品
印刷時間(1h23m)DETAILモード
3Dプリンターの精度については、現在も鋭意追い込み中ですが、今回のCADレベルであれば、ネジ穴の位置や穴径も問題なく印刷することができました。
技術の進歩はすごいですね。。
いかがだったでしょうか。
今回の記事では、ロボットアームの構造を設計して、必要な部品を作成しました。
次回の記事では、実際に組み立てて、動かしてみたいと思います。
ご期待ください!
3Dプリンター(キット)
オープンソースの3Dプリンターの仕様を作った技術者が作った会社の3Dプリンターです。この商品は、自分で組み立てることが前提です。マニュアルも日本語化されていて、組み立てで特に手順に困るということはありませんでした。非常によくできた製品で、印刷品質も高いので非常に満足できます。
ちなみに「HARIBO」というお菓子もついている(笑)ので楽しみながら組み立てられます。
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3Dプリンター(組み立て済み)
オープンソースの3Dプリンターの仕様を作った技術者が作った会社の3Dプリンターです。この商品は、すでに完成済みで調整もされているものです。私は自作キットのほうを購入しましたが、非常によくできた製品で、印刷品質も高いので非常に満足できます。
買ってすぐに印刷が楽しめるのもいいですね!
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