電子工作という言葉を聞くとまず思い浮かぶのは、中学校の技術家庭の授業でやったはんだ付け。
最近の学校は実習とかやっているのかなとふと思います。
子供の頃は何となく作業していたので、今思うと「よく部品壊さなかったな・・・」と思います。
さて、この記事でははんだ付けの方法や、必要な工具や素材についてご紹介します。
記事では、必須ツールと便利ツールとマークをつけてご紹介します!
細かい作業のうえにうまくできなかった記憶が強い。
かなりの集中力とセンスが必要でござった。
楽しむのも一興でござるぞ。
はんだ付けとは?
電子工作で一番大事なのが「はんだ付け」です。
「はんだ付け」は、電子部品や、電子基板、ピンヘッダ、コネクタ端子などを接合するために行う作業のことです。
実際に電気が流れる部分を接合するため、「はんだ付け」が悪いと、せっかく作った工作物が動かなかったり調子が悪かったりして楽しめません。
木工作品や、切り絵などは、紙や木をくっつける時は接着剤を塗り、押さえることで接着しますよね。
「はんだ付け」は、「はんだ」を溶かして部品をくっつけます。
「はんだ付け」をマスターすると、自分で作成できるものの幅がかなり広がりますので、力まずにやってみましょう!
はんだ付けで準備するもの
まずは、はんだ付けの環境を準備しましょう。
最低限、必要なものは次の通りです。
- はんだごて
- こて台
- はんだ
- はんだ吸い取り線
- フラックス
- 熱対策グッツ
- 絶縁マット
- 作業クリップ台
はんだごて
〇 こての温度設定が簡単に変更できること
〇 こて先(取り換え式)の種類が豊富
特に一つ目の条件が重要です。はんだごては、できる限り一定の温度を保つ必要があります。
使用可能温度になるまでの時間が短いことは、一定温度を保つのにも有効です。
おススメのメーカーは、「白光」です。非常に作りが良く、上記の条件を満たしています。
まずは次のものを購入されるとよいと思います。
作業が行いやすく、重量もちょうどよいので取り回しが楽。
これ一択ですね。
- コンセントを指してから使用可能温度になるまでの時間が短い
- こての温度設定が簡単に変更できる
(ツマミで、200~500℃まで調整可能) - こて先(取り換え式)の種類が豊富
標準でB型 (品番 T18-B)のこて先が付属
はんだごてのこて先(はんだごての先っちょ)をこだわると、さらに作業性が上がります。
こちらも「白光」のはんだごてに使えるこて先です。おススメですよ。
電子部品と基板の接合点が細かく繊細な場合もしっかりと
はんだをのせることができます。
一度使ったらこれなしでは、作業ができないほど。
こて台
ご紹介したはんだごてに対応し、作業中の置き場所として
重宝します。
しかも、こて先温度の降下が小さい特殊クリーナー付き。
これ一台でこて台とクリーナが手に入ります。
クリーナーは消耗品ですが、個別購入できるので安心。
はんだ
はんだ付けを行う際に、電子部品をつなぐ役割をする消耗品です。
このはんだを基板と電子部品につけて固定するので「はんだ付け」といいます。
「はんだ」を考えるうえで重要なポイントは種類です。説明しますね。
はんだは、接合部の金属表面にはんだと接合金属の合金層をつくります。
市販されている糸はんだにはフラックス(ヤニ) が入っています。
フラックスは金属表面の異物や酸化膜を取除き、より良いはんだ付けを実現してくれます。
はんだを選ぶ際には、以下の条件を考える必要があります。
成分 | はんだは基本的に「すず」と「鉛」の含有量の違いで融点が変わり熱疲労に強くなったりします。 電気関係で使う場合、電子部品は熱に弱いため融点の低いものを使います。 一般的に成分比率が「すず60%/ 鉛40%」のはんだが良いですが、電気器具や電気配線であれば「すず50%/ 鉛50%」でも問題ないとの情報もあります。 「鉛」の環境への影響を考慮した「鉛フリー」のはんだがあり、私は積極的にそちらを使用しています。 一般的に「はんだの拡がりが悪い」「融点が高い」とも言われますが、後半でご紹介する熱対策グッツを使えば、問題ないです。 |
線径 | 線径は、作業する部品によって使い分けるのが良いとされています。一般的にはΦ0.6~Φ0.8を選ぶのが妥当かと思います。 Φ0.6~Φ0.8 微細部品 Φ0.8~Φ1.0 電子部品 Φ1.0~Φ1.2 電気配線 |
焼き付きが少ない鉛フリーはんだです。
ポイントは次の3点を考慮しています。
- 環境にやさしいこと(鉛フリー)
- 扱いやすい線径であること
- 趣味ユースなので容量が選べること
はんだ吸い取り線
はんだ付け時に余分についてしまったはんだを除去するために使用するものです。
はんだ付けが失敗した際にもはんだを吸い取るために使用します。
おススメはこちらです。
はじめのうちは、はんだを余分にのせすぎ、隣接する端子と
つながってしまうなどの失敗をすることがあるので、
準備しておいたほうが、良いです。※私は5個セットを買いましたが、まだ1個目を使い切っていません(笑)。
フラックス
はんだ付けを行う金属の表面に異物や酸化膜があると、はんだ付けがうまくいかないことがあります。
そのような場合、フラックスというものをはんだ付けする箇所にぬることで最適化することができます。
また、はんだ付け後にフラックスやヤニを洗浄するものもあります。
おススメは次の商品です。
うまくいきません。そこでフラックスを塗布し、最適な
はんだ付けに導きます。
ご紹介したはんだにも含まれていますが、事前に塗ることで
はんだ付けが成功しやすくなります。
この商品はハケで塗るタイプで、鉛フリーはんだ対応です。
人体や環境に影響のある物質使わず、手作業のフラックス洗浄を想定した
クリーニング剤とのことで安全なものが一番ですよね。
缶タイプのリンクは以下に貼っておきます。
熱対策グッツ
電子部品は基本的に高温に弱い性質があります。
はんだ付けの際には、電子部品に伝わる熱を逃がしてやる対策をとることで、熱による影響をおさえることができます。
ここでは、熱を効率的に逃がすためのおススメ商品を紹介します。
はんだ付けする箇所と部品の間にこのクリップを挟むと、
熱を適切に放熱してくれる優れもの。
この商品には挟む部分の形状が異なる2種類のものが
セットになっているので、状況に合わせて使えます。
絶縁マット
はんだ付けする際に机の上に引くマットです。
はんだごては高温になりますので、絶縁と耐熱のあるものを選ぶようにしましょう。
おススメのものは次の通りです。
この商品は、パーツを入れておく場所もあり、使い勝手が良いですよ。
作業クリップ台
はんだ付けする際に、電子基板をクリップで保持するグッツです。
はんだ付けは、基本的に両手を使いますので、基板や部品をあらかじめ動かないように固定する必要があります。
そんなときに使えるのが作業クリップ台です。
拡大鏡がついているおススメ商品は次の通りです。
ある程度重さがあり、クリップの他に拡大鏡がついているものを選んでいます。
クリップの部分が写真とは逆にもできるので場合により変えて使っています。
はんだ付けの方法
はんだ付けを行うための道具が準備できたら、いよいよはんだ付けを行っていきましょう。
はんだ付けの手順は、次の通りです。
- 道具を机の上に配置する
- 電子部品や基板を作業クリップ台などに固定する
- はんだごてをこて台に置いて、電源を入れる
- はんだごての温度確認ランプが、適温になるのを待つ
- こて先をクリーナーにこすりつけ、きれいな「銀色」にする
- はんだ付けする
- こて先をクリーナーにこすりつけ、きれいな「銀色」にする
- こて先に「はんだ」をつけてこて台に戻す
順番に説明していきます。
道具を机の上に配置する
はんだ付けに必要な道具をすべて机の上に並べます。
参考までに私の作業環境を紹介します。(右利きです)
絶縁(耐熱)マットをひき、右側にこて台、中央に作業クリップ台、左側にはんだ、はんだ吸い取り線を配置します。
熱対策クリップは、左上に置いています。
電子部品や基板を作業クリップ台などに固定する
はんだ付けをする電子部品や、基板を作業クリップ台やブレッドボードに固定してはんだ付けしやすいようにします。
基板の「ランド」というはんだ付けするところ (銅色の部分)に部品の足が入るようにします。
基板に抵抗やチップなどをはんだ付けする場合は、作業クリップ台がおススメです。
基板に部品を取り付けた後、マスキングテープなどで仮固定します。
固定後に裏返してはんだ付け面が見えるように作業クリップ台に固定しましょう!
この際、部品の足が長い場合、「はんだ付けした後に余った足を切ろう」と思いがちですが、あまりおススメしません。
なぜなら、切断する際に、はんだ付けした部分に力が加わってしまい、接合部分に影響を与えてしまう可能性があるからです。できる限りはんだ付けした後に切断しなくてもよい長さに調整してから、はんだ付けすることをおススメします。
開発ボード(M5Stamp、Arduino、Raspberry Pi Picoなど)にピンヘッダを取り付ける場合などは、ブレッドボードに固定することをおススメします。
はんだごてをこて台に置いて、電源を入れる
はんだごてをこて台に置きます。
この際、はんだごてから延びる電源ケーブルは、はんだごてを動かした際に、邪魔にならないよう整理しておきます。
電源を入れるとこて先が非常に高温になるため、取り扱いには注意してください。
はんだごての温度確認ランプが、適温になるのを待つ
紹介したはんだごてであれば、1~2分ほどで、使用可能温度になるはずです。
はんだごて側面のランプが点滅していれば、使用可能です。
こて先をクリーナーにこすりつけ、きれいな「銀色」にする
こて先をこて台にあるクリーナーにこすりつけて、こて先表面を綺麗にします。
きれいな「銀色」になれば、OKです。
はんだ付けする
さていよいよはんだ付けを行います。
はんだごてが十分な温度になっているか注意しながら、右利きであれば、左手にはんだを持ち、右手にはんだごてを持ちます。
ゆっくりとカウントしながら、次のステップではんだ付けを行います。
Step1 基板のランドを温める(1~4秒)
まずはんだごてを基板の「ランド」というはんだ付けするところ (銅色の部分) に当て、はんだごての熱でランドと部品の足 (リード線) を3~4秒くらい温めます。
Step2 こて先にはんだを押し当てる(1~2秒)
こて先にはんだを軽く押し当てます。
はんだの先が溶け始めたらそのまま一気に押し当てて、はんだがランド全体に流れていくまで溶かし続けます。
Step3 はんだを離す(1秒)
はんだが富士山のような山型になったら、先にはんだを離します。
この時、はんだごては、まだ当てたままにしてください。
Step4 はんだごてを離す(1秒)
はんだごてを離します。
これではんだ付けは完了です。
こて先をクリーナーにこすりつけ、きれいな「銀色」にする
こて先をこて台にあるクリーナーにこすりつけて、こて先表面を綺麗にします。
きれいな「銀色」になれば、OKです。
引き続きはんだ付けする場合は、ひとつ前の手順を繰り返します。
こて先に「はんだ」をつけてこて台に戻す
はんだ付けを終了する場合や、しばらく作業を中断する場合は、こて先に「はんだ」をつけて、こて台に戻します。
こて先を保護するのが目的です。
必ず、行うようにしましょう。
次に使うときには、クリーナーでこて先のはんだを落とせば、きれいなこて先で作業ができますよ。
はんだ付け結果の確認
はんだ付けを行った後、結果の確認をおこないましょう。
確認ポイントは次の通りです。
- ランドとリード線の両方にはんだがしっかり付いている
→どちらにもしっかり熱が伝わっているから、はんだがよく溶けています。 - 表面がなめらか (デコボコしていない)
→なめらかなのは、はんだがよく溶けているからです。 - 富士山のような形をしている
→表面が山のような形になるのは表面張力という、液体が持つ特徴によるものです。
これもはんだがよく溶けているからです。
うまくいっていない場合には、はんだ吸い取り線を修正箇所にあてて、はんだごてで押さえるとはんだが、吸い取り線に付着して取り、再度はんだ付けしましょう。
■うまくいっていない場合の例
①目玉はんだ
ランドにははんだが流れていますが、リード線にはんだが付いていない状態です。
これだと電気が流れませんし、部品が落ちてしまうかもしれません。
原因はリード線に熱が伝わってないか、リード線が汚れているためです。
②イモはんだ
目玉はんだとは逆に、リード線だけにしかはんだが付いていない状態です。
原因は、ランドの温度が低いことです。
しっかりランドにこて先をつけましょう。
③ブリッジ
はんだ付けする場所2か所がはんだでつながって (ショートして) しまう状態です。
きれいにはんだ付けできても、これでは電気が正しく流れません。
最悪の場合、部品を壊したり、発火したりします。
最初は、うまくいかないかもしれませんが、回数を重ねることでだんだん上達するものです。
まずは、恐れず、ゆっくりと落ち着いて作業するようにしましょう。
編集後記
いかがだったでしょうか。
今回の記事は、はんだ付けについて、おすすめの道具と、手順を紹介しました。
部品を自分ではんだ付けすることで、コストをおさえたり、自分の思い通りの部品を取り付けたりできるので、できることが増えて楽しくなります。
ぜひ、挑戦してみてくださいね!
記事は以上です。
最後までご覧いただきありがとうございました。