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【電子工作】配線を綺麗で快適に、コネクタとケーブルを使う!

電子工作ではんだ付けとともに欠かせないのが、「ケーブル作り」。

電子部品やコンピュータ、モーターなどの各部品はいろいろな形状のコネクタを持っています。そこで、ケーブルの端を接続するものの規格に合わせることが必要になります。

また、コネクタで配線するように構成した場合は、配線の引き回し、分解、組み立てが簡単になるので、メリットも多いです。

そこで今回は、ケーブルづくりに必要な知識と工具や素材についてご紹介します。

すけろく
ケーブルなんぞ、みんな同じではないのか?
楽勝、楽勝。
げんろく
そうでもござらんよ。使用する条件に合った太さやコネクタなど考えることは多い。そのあたりを説明しよう。

コネクタというと一般的なもでいうとLANケーブルや、HDMIなどがありますよね。決まった規格のコネクタ形状を持っているので同じ規格のケーブルであれば別のケーブルでも脱着ができます。電子工作で使うコネクタにもいろいろ規格があり、脱着が可能という特徴は同じです。

例えば、次のような端子です。

これは電子工作でよく使うQIコネクタというものです。
例をもう一つ。

これは、XHという規格のものです。上の写真のようなケーブル側につけるものを「ハウジング」といい、基板側につける受け側(下の写真)を「コネクタ」といいます。

 

コネクタ接続ケーブルを作るメリット

「はんだ付け」と「コネクタケーブル作り」は電子工作で各電子部品や電源をつなぐのに必要な作業です。しかし「基板に電子部品やケーブルをつなぐ」という目的は一緒ですが、それぞれの作業のメリット・デメリットがあります。

配線作業方法 メリット デメリット
はんだ付け 部品やケーブルを直接つけられる
 (コネクタ形状などを考えなくてよい。)
・作業が手軽にできる
・作業後の部品やケーブルの
取り外しなどが面倒
・配線が基板に固定されるため
配線時の取り回しが面倒
コネクタケーブル作り コネクタによるケーブルの取り外しが楽
配線の取り回しが楽
・はんだ付けよりも接続部分の
信頼性を高めるための条件
が多い。

抵抗やコンデンサなどの電子部品は基本はんだ付けですが、基板と別の部品(基板含め)との配線については、組み立てや分解が楽なコネクタケーブルにしておくことをおススメします。コネクタケーブルの作り方や規格を知ることで、いろいろな製品(FANやモーター、バッテリなど)の規格に合わせることが簡単になり、配線も綺麗で安全性も高いものが出来上がります。ぜひ挑戦してみてください!

 

コネクタ接続ケーブルを作るのに検討するポイントは?

コネクタ接続ケーブルを作るには、コネクタとケーブルにおいて、以下のポイントを押さえることが重要です。詳しくは、後で説明してます。

コネクタ規格 ・固定方法/大きさ/流せる電流で規格がある。
コネクタ部品 以下の3つで構成します
・コンタクト(導体と圧着するもの)
・ハウジング(コンタクトを入れるもの、コネクタとの接合に使う)
・コネクタ(コネクタ接続ケーブルの受け側)
ケーブル構造 ・単線     :導体が一本だけ通っているもの
より線(複線):複数の導体をより合わせたもの
・シールド線  :オーディオ関係で使うことが多い
※コネクタ接続ケーブルを作る場合は、コネクタの圧着端子と隙間なく接合させるために複数の線で構成されているより線(複線)を使います。
ケーブル径 ・ケーブル径には規格がある
・ケーブルの太さと長さなどで電圧が下がる(抵抗があるため)
・ケーブル径により流せる電流値が異なる
絶縁処理 ・ハウジング部分から導体がはみ出していると危険
・場合によって熱収縮チューブなどを使って絶縁処理する

 

コネクタ規格は種類が多い

コネクタの規格は、以下のようにかなり多いです。電子工作に使う代表的なものは次のようなものがあります。日本圧着端子製造(JST)の標準設計品として製造されていたものが広がったものや、中国のSeed社のものなどがあります。次のコネクタ規格表のうちVH~SHはJST、GroveはSeed社のものになります。

自分で作る場合は、JSTのものが入手性は高い(特にVH、NH、XH、PA、PH)のでよく使いますが、特定のコンピュータ(M5Stackなど)ではGroveがよく使われていて、最近よく触っているので、扱うことが多くなってきました。

 

代表的なコネクタ一覧

コネクタ規格 販売元 ピン間
ピッチ
電流
(A)
電圧
(V)
接触
抵抗
(mΩ)
ロック
機構
使用ケーブル
(参考)
VH
(カタログはこちら)
JST 3.96㎜ 10A 250V  ≦10mΩ あり AWG #22~16
NH
(カタログはこちら)
JST 2.5㎜ 3A 250V  ≦15mΩ あり AWG #30~22
EH
(カタログはこちら)
JST 2.5㎜ 3A 250V  ≦10mΩ なし AWG #32~22
XA
(カタログはこちら)
JST 2.5㎜ 3A 250V  ≦10mΩ あり AWG #28~20
XH
(カタログはこちら)
JST 2.5㎜ 3A 250V  ≦10mΩ あり AWG #30~22
PA
(カタログはこちら)
JST 2㎜ 3A 250V  ≦10mΩ なし AWG #28~22
PH
(カタログはこちら)
JST 2㎜ 2A 100V  ≦10mΩ なし AWG #32~24
ZH
(カタログはこちら)
JST 1.5㎜ 1A 50V  ≦20mΩ なし AWG #32~26
GH
(カタログはこちら)
JST 1.25㎜ 1A 50V  ≦30mΩ あり AWG #30~26
SH
(カタログはこちら)
JST 1㎜ 1A 50V ≦20mΩ なし AWG #32~28
QI(2550)
(カタログはこちら)
 ・コンタクト
 ・ハウジング
2.54㎜ 3A 250V 20mΩ なし AWG #28~22
Grove
(カタログはこちら)
Seed 2㎜ 2A 250V 20mΩ なし AWG #24~#30

※GroveコネクタはHY2.0 4Pという規格のコネクタとも接続が可能です。

コネクタのピン数

Groveコネクタ(4ピン)以外は、ピン(極数)の数(SHだと2~20など)を選択して購入できるので必要なピン数のものを購入して使うことができます。センサーやRaspberry Pi 用のHAT(Hardware Attached on Top)など既製品を自作に取り込む場合は、すでに基板に実装されているコネクタの規格に合うコネクタ接続ケーブルを準備するようにします。

コネクタの大きさと注意点

各コネクタは大きさが異なり、大きいものは大電流を流せますが、小さいものは少ない電流しか流せません。基本的にピン間ピッチが小さくなるとコネクタ自体も小さくなります。
注意点として、電流が多く流れるようなものを接続できるという触れ込みの製品において、基板に実装されているコネクタ規格の電流量が明らかに小さい場合は、適正な代替品を購入することを考えたほうが良いです。自作の場合もコネクタとケーブル、流れる電流の値については、注意が必要です。

コネクタの型番の見方

JSTのコネクタ型番は、規格(シリーズ名)材質、端子のサイズ、極数(ピンの数)によって変わるのでかなりのボリュームがあります。

ご紹介したコネクタのカタログ上でのコンタクト、ハウジング、コネクタ(ベース)の型番の見方を次に紹介します。(例:SHコネクタ)

 

コネクタを構成する部品を覚えよう

では、コネクタはどのような部品で構成されているのでしょうか。

初めての場合、部品販売サイトなどの部品名をいきなり見てしまうとちょっと混乱するかと思います。実はコネクタは3つの部品で構成します。

①コンタクト(導体と圧着するもの)
ケーブルをこのコンタクトの爪の部分に入れて圧着ペンチで圧着します。
圧着したものをハウジングに指していくイメージです。

②ハウジング(コンタクトを入れるもの、コネクタとの接合に使う)
ケーブルに圧着したコンタクトをハウジングの穴に差し込んで固定します。次の写真は2ピン用のハウジングですが、コンタクト差し込み穴が2つあるのでケーブルに圧着したコンタクトを2つ差し込んで完成させます。また、コネクタに接続した際にピンが差し込まれる(メス側)となります。

③コネクタ(コネクタ接続ケーブルの受け側)
ハウジングを接続するもので、ピンがついており、このピンをコネクタに差し込む(オス側)の部品です。こちらを基板などにはんだ付けしたり、すでに製品についているものがあります。コネクタとハウジングのピンの数は合わせる必要があります。

 

ケーブル構造

コネクタ接続ケーブルを作るには、ケーブルの導体(芯線)とコンタクト(圧着端子)を圧着します。圧着とは、圧着端子とケーブルの導体(芯線)を塑性変形(加圧)することで接合することで、変形された導体が元の状態に復元しようとする弾性と端子の残留応力によって強固な接続を実現します。

電子工作で使うような小さなコンタクトを使用する場合は、より線を使います。これは圧着する際にコンタクトと導体の間の隙間をできる限りなくすためです。

 

ケーブル径の規格

ケーブルの太さには以下のように規格があります。
ケーブルの材質や製品によって違いがあるのであくまでも参考値です。
下表の使用可能電力は、協和ハーモネットさんケーブルの参考値です。

UL1007 / UL耐熱ビニル絶縁電線

AWG
SQ(JIS)
導体断面積
(㎟)
導体外径
(㎜)
絶縁体
外径
(㎜)
許容電流
(A)
AWG28 0.08sq 0.38  1.2  3A
AWG26  0.12sq 0.48 1.3 4A
AWG24 0.2sq  0.61 1.5  5A
AWG22 0.3sq 0.76 1.6 7A
AWG20 0.5sq 0.95 1.8 9A
AWG18 0.75sq 1.21 2.2 13A
AWG16 1.25sq 1.53 2.5 17A

UL3265 / UL難燃架橋ポリエチレン絶縁電線

AWG
SQ(JIS)
導体断面積
(㎟)
導体外径
(㎜)
絶縁体
外径
(㎜)
許容電流
(A)
AWG24 0.2sq 0.61 1.22 7A
AWG22 0.3sq 0.76 1.36 9A
AWG20 0.5sq 0.95 1.55 12A

 

ちなみにラジコンのバッテリーなどはAWG14とかを使っていますね。

ケーブルは品質の良いものを選択します。安価で販売されているケーブルもありますが、導体(芯線)が細く、被覆が厚いだけのものがあるので注意が必要です。
前述したとおり協和ハーモネット製品などは、規格、使用条件などがきちんとあります。こういった信頼性の高いものを選択するようにしましょう!

おすすめケーブル

被覆が太めのケーブル

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厚めの被覆のものです。少しかさばるので空間に余裕があってしっかりめの配線をしたい場合に使ってます。

被覆が薄めのケーブル

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協和ハーモネット(Kyowa Harmonet)
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被覆が薄めなので取り回しがしやすいです。ケーブル径はAWG #24~20まであります。いろいろなシーンで使えるのでこちらがおススメになります。
げんろく
ちなみに、私は取り回しといろんなところで使えるUL3265の線をよく使います。ケーブル径はAWG #22、#24ですね。
メーカーは、協和ハーモネットさんを使ってます。

 

圧着に使用する工具

圧着には専用の工具「圧着ペンチ」を使います。使用するコネクタにあった工具をそろえる必要があります。適切な工具をそろえることで作業がはかどります。

おすすめ圧着ペンチ

極小端子用

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ダイス幅(mm):1.0、1.4、1.6、1.9
用途:極小端子用
対応電線:AWG No.32~20
対応コネクタ:PH、ZH、EH、NH

小・中型端子用

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ENGINEER
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ダイス幅(mm):1.6、1.9、2.0、2.3
用途:小型端子用
対応電線:AWG No.28~18
対応コネクタ:PH、NH、VH、EL

小・中型端子用(コンタクトのバレル(ハネ)が長い端子用)

ダイス幅(mm):1.6、1.9、2.2、2.5
用途:バレル(ハネ)が高い端子用
対応電線:AWG No.26~18
対応コネクタ:XH、NH、VH、PA
げんろく
はじめからすべてを買い揃えるのは難しいと思うので、自作で使用するコネクタを決めて(例えばXHなど)それに対応したものを購入し、しばらく使ってみてください。
コネクタの種類を増やす際に必要であれば圧着ペンチを追加していくほうが良いですよ!
ちなみに、ケーブルをコンタクトにつける前にケーブルの導体(芯線)をむき出しにする作業があり、被覆を取るための工具もあったほうが便利です。ニッパーなどで被覆を取ることもできますが、私は確実に切り取るために以下の工具も購入しています。
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ホーザン(HOZAN)
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単線:AWG22~12
より線:AWG24~14
※コネクタ接続ケーブルは原則「より線」を使いますのでちょうどよいサイズです。
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エーモン(amon)
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太めの電線(AWG #20~10)のワイヤストリッパーがついています。先端にケーブル切断、圧着ペンチ部分などがついています。ラジコンの電源ケーブルなどの圧着では便利に使っています。ちょっと大きいですが、使い勝手は良いほうです。

 

コネクタ接続ケーブルの作成方法

コネクタ接続ケーブルの作成方法についてご紹介します。基本的な圧着端子のつけ方については、エーモンさん関連のサイトが非常にわかりやすく便利でいつも使わせていただいています。
簡単ですが、私がいつもやっている方法も次に載せておきます。

コネクタ接続ケーブルの作成

コネクタ接続ケーブルを作成するために次のものを準備します。

  • 圧着ペンチ(精密)
  • ケーブル
  • コネクタセット(コンタクト、ハウジング)

では、さっそく作っていきましょう。


コンタクトを切り離します。
この時、コンタクトのついているランナーのような部分は少し残しておきます。
※圧着する際にケーブルとコンタクトを指で押さえるのに使います。圧着時に便利だからです。通常は切ってコンタクトのみにします。

コンタクトにケーブルを合わせます。
コンタクトの中央のハネにケーブルの先端を合わせ、被覆を取る部分の長さを確認します。外側のハネは被覆の上から圧着するようにします。
マジックなどで被覆をはがす部分をマーキングするとわかりやすいです。

ケーブルの被覆をケーブルストリッパーで外したら、むき出しになった導体(芯線)を指でねじります。

コンタクトにケーブルを合わせて圧着ペンチでまず真ん中のハネ部分を圧着します。


次にケーブルの被覆部分の部分にあるハネを圧着します。
圧着後、コンタクトがケーブルから離れないかどうかを確認します。

コンタクトのいらない部分をカットします。

コンタクトの部分をハウジングに差し込みます。※結構しっかりと入れる必要があります。抜けなくなるまでしっかりと差し込んでください。

コネクタ接続ケーブルの完成です。
お疲れさまでした!

 

コネクタ接続ケーブルを作る際に、うまく圧着できていないと導体部分がハウジングからはみ出る場合があります。導体に触ることができる状態である場合、ほかのケーブルなどと接触した際にショートすることも考えられます。ケーブル作成時は注意しましょう!

コネクタなどの入手先

コネクタ接続ケーブルを作る際のコンタクト、ハウジング、コネクタ(ベース)は以下の通販サイトでも入手できます。もちろん実店舗もあります。

秋月電子:
電子工作に必要な部品を1個から販売してくれるお店です。
「パーツ一般」の「汎用コネクタ・端子」に紹介したコネクタがあります。

秋月電子さんの通販サイトURLはこちらです。

千石電商:
電子工作に必要な部品をだいたい5個セットから販売してくれるお店です。
マイクロコンピュータや、工藤部品(ギヤなど)の商品も充実しています。
「コネクタ・端子」の「小信号用圧着・圧接コネクタ」に紹介したコネクタがあります。

千石電商さんの通販サイトURLはこちらです。

共立エレショップ:
電子工作に必要な部品をだいたい1個セットから販売してくれるお店です。
Groveコネクタなどの他では販売してないパーツもあります。
【電子部品・半導体・ケース】の「機構」-「端子/コネクタ/ソケット」-「(圧着/圧接)コネクタ」に紹介したコネクタがあります。

共立エレショップさんの通販サイトURLはこちらです。

上記のサイトはそれぞれ違った色を持っているので、用途によって使い分ける形が良いと思います。

私の場合、部品を探す際には、「秋月電子」と「千石電商」で検索して価格と販売単位を確認し、それでもないものについては、「共立エレショップ」を検索するような使い方をしています。

また、Amazonでも一部部品は販売していますが、技適マークなどの取得が必要なものも中にはありますので、部品に関しては、Amazon内の販売元:スイッチサイエンスのものをおススメします。
(※本サイトでもできる限りそうしています。)

以上、長くなりましたが、配線を綺麗で快適に使うための、コネクタとケーブルをつかったコネクタ接続ケーブルの紹介と作り方をご紹介しました。

このひと手間がかけられると、回路基板とFANや、モーター、センサーとを配線し、自由に配置できるようになりますので、ぜひ、挑戦してみてください!