オートコンプリート機能などが追加されているらしい。
インストールから新機能の確認をしてみるか!
これまで、Arduino が誕生して以来、古典的な Arduino IDE (統合開発環境) を使用してきました。
Arduino IDE 2.0 は従来の IDE を改良したもので、パフォーマンスが向上し、ユーザー インターフェイスが改善されているとのこと。
また、次の新機能が実装されています。
- オートコンプリート
- 組み込みデバッガー
- Arduino Cloud とのスケッチの同期
- その他の追加機能
今回の記事では、Arduino IDE 2.0 をインストールし、新機能を中心に使い方をレビューします!
Arduino IDEでプログラムできる開発ボードは、こちらで紹介しています。
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早速インストールしてみる
では、早速インストールからしていきます。
インストールするために必要なファイルは以下からダウンロードできます。
Open-source electronic prototyping platform enabling users t…
インストール手順
所要時間:10分程度
ダウンロードサイトから、「Arduino IDE 2.0.0」にあるダウンロードファイルを選択します。この例では、「Windows 64bit用」を使っています。
寄付の画面が表示されるので、ダウンロードのみか、寄付してダウンロードかを選択します。※選択するとダウンロードが開始されます。
ダウンロードしたファイルを選択して、右クリックメニューから「管理者として実行」を選択します。※実行可否をWindowsが聞いてきますので許可します。
※IDE1.8 をインストール時と同じユーザでログインした状態で実行しましょう。
インストール画面が起動します。
ライセンス契約書が表示されるので「同意する」をクリックします。
インストールオプションの選択画面にて、全てのユーザ向けか、使用するユーザのみかを選択し、「次へ」をクリックします。
インストール場所を選択して、「インストール」をクリックします。※インストールが開始されます。
完了するまで、しばらく待ちます。
インストールの完了画面が表示されます。
「完了」ボタンを押します。Arduino IDE 2.0 の画面が開きます。
Arduino IDE2.0が起動します。
Arudinoを初めてインストールした場合などには、起動後にUSBドライバなどがインストールされます。
基本的にはすべてインストールします。また、ライブラリの更新を聞いてきますので、更新方法を選択してください。
日本語化する手順
Arduino IDE2.0をインストールすると、言語が「英語」として表示されます。
せっかくなので「日本語」対応してみましょう。
所要時間:5分程度
Arduino IDE2.0のメニューから「File」ー「Preference」をクリックします。
環境設定画面が開きますので、中央部にある「Language」の設定をプルダウンメニューで「日本語」に変更します。変更後、「OK」ボタンを押します。
Arduino IDE2.0の画面上のメニューなどが日本語で表示されます。
ライブラリのアップデート
Arduino IDE2.0を起動した際や、環境設定変更時には、インストール済みのライブラリの公開情報の確認が入り、アップデートがある場合に以下のようなポップアップが表示されます。
Arduino IDE 2.0のスケッチ画面を確認する
Arduino IDE 1.8 の環境をIDE2.0へ移行する
Arduino IDE 2.0に移行した際の、IDE 1.8環境からの一般的な移行項目は以下の通りです。
以下の動作設定ファイルを直接編集している場合は、そちらも修正が必要になる可能性があります。
C:\Users\”UserName”\AppData\Local\Arduino15\preferences.txt
IDE1.8環境のArduino IDEを起動し、「ファイル」ー「環境設定」を開いて、設定を確認しておきます。
重要な項目は次の通りです。
項目 | 移行方法 | ||
スケッチブックの保存先 | 基本は、インストール時のユーザ”UserName”に合わせた、次のパスに作成されます。(個別設定されている場合は異なる。) C:\Users\”UserName”\OneDrive\ドキュメント\Arduino
※ユーザが異なる場合、Windowsのアクセス権により以前のユーザのフォルダにアクセスできない場合もあるので注意が必要です。IED1.8の時と同じユーザを使いましょう。 |
||
ライブラリ | スケッチブックの保存先フォルダの中に「libraries」が作成されています。 IED1.8のスケッチブックの保存先とIED2.0の保存先を合わせることでライブラリは利用できるようです。 |
||
追加のボードマネージャのURL Additional boards manager URL |
利用されている機器により登録されているURLが違います。 この設定もIED1.8とIED2.0で合わせる必要があります。
|
||
ボードマネージャ | 上記の「追加のボードマネージャのURL」を設定した後、必要なボードマネージャをIED2.0でインストールする必要があります。 IDE2.0のボードマネージャのインストールは次の章で説明します。 |
Aruduino IDE2.0のボードマネージャのインストール
今回は、「Arduino IDE 2.0」の「ボードマネージャ」と書き込み先のボードの指定について記載します。 Arduino IDEは、Arduinoに対応した各種ボード(Arduino uno、M5Stack、M5Stic[…]
Aruduino IDE2.0のライブラリの管理
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新機能を試してみよう!
Arduino IDE2.0の新機能を確認していきます。次の順番でまとめています。
なお説明に使用する画面は「日本語」表示を有効にした状態です。
- オートコンプリート
- 組み込みデバッガー
- Arduino Cloud とのスケッチの同期
- その他の追加機能
オートコンプリート
こちらの機能は、コードエディタではよくあるコード補完機能です。
ユーザが入力した内容に応じてコードの候補を表示してくれます。
結論から言うと、「まだまだ、使い辛い…」という印象です。(補完されたり、されなかったり。。。)
Arduinoの基本構文については、補完されていて、追加ライブラリは難しいようです。
あと、作成途中でボードの変更を行うと補完されなくなったりします。
それでも、一度使ってみたい!という方のために、有効化と使用手順を紹介します。
オートコンプリートの有効化
Arduino IDE2.0をインストールしただけでは、オートコンプリート機能は有効になっていません。
次の手順で有効化できます。
所要時間:5分程度
Arduino IDE2.0のメニューから「File」ー「基本設定」をクリックします。
「エディタへのクイックサジェスト」のチェックボックスをチェックします。
チェック後、「OK」ボタンを押します。
オートコンプリートの使い方
Arduino IDE2.0を起動し、画面上部の「ボードを選択」部分のドロップダウンリストから「他のボードを選択」をクリックします。
ボードの選択画面上で、使用するArduinoボードを選択します。選択後「OK」ボタンを押します。
スケッチに戻ったら、オートコンプリートを起動するため、キーボードから「Ctrl」+{Space」を押します。あとは、文字を打ち込めば、候補が表示されます。
以上で、オートコンプリートの使い方は完了です。
組み込みデバッガー
デバッガは、コード実行時に処理をステップ実行したり、停止、などを行ったりできる機能です。
ただし、対応するボードは、一部のみとなります。
対応ボードは SAMD ボードと互換性があります。SAMD アーキテクチャを使用するボードは次のとおりです。
- MKR Zero
- MKR WiFi 1010
- MKR FOX 1200
- MKR WAN 1300
- MKR WAN 1310
- MKR GSM 1400
- MKR NB 1500
- MKR VIDOR 4000
- Nano 33 IoT
- Zero
また、Arduino Zero以外のボードは、デバッグツールである次の機器が必要になるようです。
- Segger’s J-Link
- Atmel-ICE
この組み込みデバッガー機能については、デバッグツールを手に入れた段階で記事にしようかと思います。
Arduino Cloud とのスケッチの同期
Arduino IDE 2.0は、Arduino Cloudとのスケッチの同期が行えます。
Arduino Cloudは、Webブラウザ上で動作するArduino IDE環境で、ユーザ登録するだけで無料で使用することができます。
GitHubのArduino版みたいな機能ですが、少し違うのは、Webブラウザ上でもスケッチ(プログラム)の編集ができるところです。
- 普段は開発用パソコンで、Arduino IDEを使い、外出先でタブレットやスマホからスケッチ編集する
- 複数のPCからスケッチを編集する
- バックアップ先としての活用や、スケッチの共有する
そんなことができちゃいます!
今回はそんなスケッチの同期に絞って紹介します。
この機能を使用するための手順は次の通りです。
- Arduino Cloudにアカウントを作成する
- Arduino Cloudでスケッチを記述して保存する
- Arduino IDE でArduino Cloud に接続し、スケッチを編集、保存する
- Arduino Cloud に接続し、スケッチの更新状況を確認する
Arduino Cloud にアカウントを作成する
以下の手順で、アカウントを作成できます。
アカウント作成時にはFreeプランが適用されているため無料です。有料プランへのアップグレードもできます。
所要時間:10分程度
左のボタンを押します。
(Arduino Cloud のログイン画面に移動します)
アカウント作成画面が表示されます。
以下のように入力して、「SIGN UP」ボタンを押します。
<入力項目>
・メールアドレス
・ユーザ名(Arduino Cloud上で表示される名前)
・パスワード
<チェックボックス>
ポリシーの合意以外は任意で選択します。
■ ポリシーに合意する
□ ニュースレターを購読する
□ オファーを受信する
□ お得な情報を受信する
登録が終わると左のような画面が表示されます。
この状態で、登録したメールアドレスに認証メールが送られますので、メール内にあるリンクを押して有効化します。画面上部にある「Cloud」を押します。
Arduino Cloudの画面から「GET STARTED」を押します。
管理画面が表示されます。
新しいスケッチを作るには、右側にある「New sketch」を押します。
初回アクセスすると機能紹介するか聞いてきますので、「NO, THANKS」を押します。
Webエディタが表示され、右側に新しいスケッチが表示されます。
Arduino Cloud でスケッチを記述して保存する
次に、Arduino CloudとArduino IDE 2.0で共有するスケッチを、Arduino Cloud上に作成します。
所要時間:5分程度
共有を試すために、スケッチ例をコピーします。
Arduino CloudのWebエディタ上の左側のメニューから以下の通り選択します。
「Examples」ー「01‗BASICS」ー「Blink」右側にスケッチが表示されるので、スケッチ内容をすべて選択してコピー(Ctrl-C)します。
新しいスケッチを作成して、先ほどコピーしたスケッチ内容をペーストします。画面真ん中の上部にある「NEW SKETCH」を押します。
新しいスケッチが右側に表示されます。先ほどコピーしたスケッチ内容をペーストします。
スケッチを動作させるボードを選択します。
右側上部の「Select Board or Port‥」を押します。
ボード選択画面から対象のボードを選択します。
画面では「Arduino Uno」を選択しています。選択後、「OK」ボタンを押します。
右側の左上にあるチェックマークを押して、スケッチを検証、保存します。※ボードが選択されていないとエラーになりますので注意してください。
以上で、Arduino Cloud上でのスケッチの作成手順は完了です。
※作業後は、Arduino Cloudで使ったブラウザを終了しておきます。
Arduino IDE でArduino Cloud に接続し、スケッチを編集、保存する
次に、Arduino IDE 2.0から、先ほどArduino Cloud上で保存したスケッチを編集し、保存してみます。
所要時間:15分程度
Arduino IDE 2.0を起動します。画面左のメニューから「スケッチ」を選択し、「地球儀マーク」を押します。「Arduino Cloudにログインする」から「ログイン」ボタンを押します。
ブラウザが起動し、Arduino Cloudのログイン画面が表示されます。以下の項目を入力して「SIGN IN」ボタンを押します。
・メールアドレス
・パスワード※事前にArduino Cloudにサインインした状態が残っていると
左下の画面が表示されることがあります。
「Accept」を押すことで接続できます。※サインインが正常に行われると、ブラウザを閉じるようにブラウザ上に表示されますので、ブラウザを終了させます。
ブラウザを閉じるメッセージ画面がうまく表示されない場合は、Arduino IDE 2.0の「ログイン」ボタンを何度か押してみてください。
画面したに「接続済み」と表示されます。
「地球儀アイコン(Remote Sketch)」にArduino Cloudで保存したスケッチが表示されます。マウスオーバーして表示される「ダウンロードアイコン」をクリックします。
ダウンロードが完了したら、スケッチ名をダブルクリックします。新しい画面でスケッチが開きます。
表示されたスケッチに追記してみます。
左図のようにコメントを追加します。
画面上部の「ボードとポートを追加する」をクリックします。
ボード選択画面から対象のボードを選択します。
画面では「Arduino Uno」を選択しています。選択後、「OK」ボタンを押します。
スケッチの検証を行う場合は、画面左上の「チェックアイコン」を押します。
メインメニューの「ファイル」から「保存」を押します。
スケッチをマウスオーバーして表示される「アップロードアイコン」をクリックします。
更新確認画面が表示されるので「プッシュ」ボタンを押します。
Arduino Cloud に接続し、スケッチの更新状況を確認する
最後に、Arduino Cloud上でスケッチの更新状況を確認します。
所要時間:5分程度
左のボタンを押します。
(Arduino Cloud のログイン画面に移動します)
画面中央にある「Web Editor」を押します。
先ほどArduino IDE 2.0で編集したスケッチを選択します。右側のスケッチ内容が編集後の内容に更新されていることを確認します。
以上で、Arduiino Cloudでのスケッチの更新状況の確認作業は完了です。
編集後記
いかがだったでしょうか。
最近気になっていたArduino IDE 2.0をインストールして、新機能を使ってみました。
皆さんの参考になればと思います。
インターフェースの操作感としては、メインメニューからメニューを選んでいく操作がなくなり、ボタンで選択していけるため、使いやすくなっているのではないでしょうか。
Arduino IDE 1.8を使っている方は、そろそろ、Arduino IDE 2.0を一度試しておくとよいかもしれません。
今回の記事は以上になります。
最後までご覧いただきありがとうございました。