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【からくり技術研究所】変化のある直線運動を作ってみる!「カム機構」を自作する。

からくり技術研究所では、「ロボット製作に使える機械工学のメカニズムを実際に動かしてみよう!」ということで、地道に短めの記事でやっていくコーナーです。

主に、ロボット製作で使うための機械的な仕組みを実際に作って、動かして、測定してみます。

 

この連載記事では、タミヤ模型さんの「楽しい工作キット」と「3Dプリンター」を使って、仕組みを組み立てています。

今回は、3Dプリンターとして新しく追加した「ORIGINAL PRUSA MK4S」を使っていますよ!

ORIGINAL PRUSA i3 MK3S+」も部分的に使って効率化しています!

 

今回は機械の基本的な仕組みである「カム機構」を使った仕組みの製作記事です。

すけろく
一定の動きではなく、ある程度の範囲で
動きが変化する機械的な仕組みはないかの?
げんろく
うむ。そうだな。
機械の構造の中で基本的な仕組みとして
カム機構がある。
すけろく
ほう。リンク機構とは違うものだな!
げんろく
そうだ。
よし、今回は、機械の基本的な仕組みである
カム機構を実際に作って動かしてみるか!
ロボットに限らず、自家用車もトラックも、ラジコンも、基本的な機械構造を組み合わせて作られています。
産業用ロボットなどで、一定量ではなく、運動量に変化がある動きを実現するために
以前から使用されてきた構造があります。
それが、「カム機構」です。
この機構は、「カム」と呼ばれる部品の輪郭形状を変えることによって、
例えばカムを回転させた際に、カムに接触するフォロワーを通じて、
上下運動の幅を変化させたりすることができます。
カム機構」は、スライダクランク機構と並んで、機械工学の本などで真っ先に紹介される機構です。
本などで紹介されているのを見ると次のような簡単な図で表されていることが多いのですが、
実際に動くものを作るためには、図にはない部分の構造を検討する必要があります。
今回は、試作にあたり、以下の目標を立てました。
  • シンプルなカム機構を使った構造とする
  • 模型サイズでの実現を考慮する
  • 3Dプリンターを使って造形できる部品で構成する
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構造を単純化して考える

毎度のことながら、いきなりCADソフトなどで3Dモデル化!ってできればいいですが、そこまで優秀な頭は持っていないので、

まずは、「カム機構と、機構を保持し運動量を入力するための構造」を単純化して考えます。

カム機構をどうするか。

先ほども紹介しましたが、「スライダクランク構造」は、次の図のような構造になります。

カム」の回転によって、「カム」の輪郭形状を「カムフォロア」がなぞることで

カムフォロア」と一体のスライダが、上下します。

カムフォロア」とスライダは、固定されず重力が下方向に加わっています。

そこで、今回は、「カム」の回転軸は固定し、上部に「カムフォロア」とスライダが動くように

ガイドをつけるような構造にします。

 

カム」が回転すると、「カム」の輪郭形状に沿って「カムフォロア」が上下し、

スライダ全体が上下運動を行います。

カムフォロア」は、タイヤのように回転するものをスライダに取り付けます。

ここまで考えると、実際に動くもののイメージが固まってきます。

 

基本的な構造は見えてきましたので、次に3DCADデータを作成します。

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3Dモデルを作ってみる

3Dモデルを作成しました。

カム機構」の3DCADイメージは次のようにしました。

スライダの前面には、透明なアクリル板で覆うことで動きが見やすく、動きがスムーズになるようにしています。

カム」を取り付ける部分は、異なる形状の「カム」を取りかえることができるように、以下のような形状にしました。
保持パーツができたことで「カム」の回転運動により、スライダが動くものができました。
次に、「カム」を回転させるためのハンドルを背面側に設けました。
ハンドルを回すと、「カム」が回転する仕組みになります。
今回は、パーツ固定用のネジ以外は、全て3Dプリンターで製作する想定で作っています。

試作用のデータを作る

今回の構造パーツは、全て3Dプリンターを使って各パーツを作っていきます。

3Dプリンター「ORIGINAL PRUSA MK4S」を使いました!

造形データの作成は、「ORIGINAL PRUSA i3 MK3S+」の時と同じ「PrusaSlicer」を使います。

3Dプリントデータは以下のパーツ毎に生成しました。

  1. カム(本体・取付部、回転軸)
  2. 回転用ハンドル
  3. カムフォロア、スライダ
  4. 保持体と全面カバー
  5. 底面固定用の台

カム(本体・取付部・回転軸)

カムは、カム本体と、カムを固定するパーツと回転用ハンドルを取り付けるための回転軸パーツの3つで構成します。

回転用ハンドル

回転軸に設置して回転させるためのハンドルを製作します。

カムフォロアとスライダ

カムフォロアのついたスライダを製作します。

保持体と全面カバー

カムとカムフォロアなどを保持する保持体と、スライダの前面のカバーを製作します。

右の前面カバーは、透明なアクリル板を加工して製作することで、スライダの動きが良く見えるようにします。

底面固定用の台

パーツを固定するための底面用パーツを製作します。

 

印刷データ生成時には、次の条件に注意して配置すると失敗が少なく作業がはかどります。

  • 印刷面席が大きいパーツは単体で生成する
  • 小さいパーツは複数並べて配置してもいいが、プリンターのノズルの移動量を抑える
  • ネジ山、ネジ穴は縦方向に印刷する

ORIGINAL PRUSA MK4Sで印刷する

今回は、「PETG」フィラメントを使用して「ORIGINAL PRUSA MK4S」で印刷しました。

各パーツとも、精度バッチリで、スムーズに動きます。

最終的には、「ORIGINAL PRUSA i3 MK3S+」でも印刷してみようと思っています。

今回使った3Dプリンターとフィラメントはこちら!

ORIGINAL PRUSA MK4

PETGフィラメント

今回はこちらのフィラメントを使っています。安価ですが安定していますので参考にしてください。

組み立て

部品は揃いましたので、組み立てててみました。

カム機構」としてきちんと動く精度で組みあがりました。

実際に動くものというのは、いい感じですね~。

カムフォロアとスライダとの接合部は、軸の動きをよくするためワッシャを入れ、

ネジで固定しています。

製作過程や動作などについては、動画でも公開予定なので、ご期待ください!

動かしてみよう

それでは、実際に動かしてみましょう。

ハンドルを回すと、カムが回転し、スライダが直線的に動きます!

うまく動いていますね!

いろんな形のカムを取りかえて動きを確認してみるのも楽しいと思います。

編集後記

いかがだったでしょうか。

本などで記載されているものを頭の中で想像して動きを理解してよいですが、

実際に作ってみると、単純にスライダクランク機構を作るだけでなく、保持方法、運動を与える方法など

色々と必要になってきて、勉強になります。

原理と、機構がわかると、自作も意外とできちゃうんです!

3Dプリンターで作ったパーツも、強度はあるので、試作にはピッタリです。

今回の「カム機構は、機械の機構の中でも基本的なものなので、実際の実装方法を学ぶのは有効ですよ!

皆さんも、挑戦してみては、いかがでしょうか!

今回の記事は以上となります。

最後までご覧いただきありがとうございました。

記事内でご紹介した商品はこちら!

PETGフィラメント

今回はこちらのフィラメントを使っています。安価ですが安定していますので参考にしてください。

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