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【Arduino】Raspberry Pi Pico/W でどのボタン押したか判別するぞ!

すけろく
うーむ。
げんろく
どうした浮かない顔して。
すけろく
これまで、Raspberry Pi Pico / Wをいろいろ確認してきたが
外付けのボタンの認識ってやったかぇ?
げんろく
たしかに!まだ取り上げていない基本的なものがあるな
よし、今回はボタン押下時の状態を
Raspberry Pi Pico / Wで認識してみよう。

この記事では、「Raspberry Pi  Pico W」を使って、「プッシュボタンが押されたかを認識する」方法をご紹介します。

Raspberry Pi の中でも、省電力なCPUを搭載したマイコン開発ボードです。

他のRaspberry Pi 製品とは異なり、Linux OSを搭載していません。

しかし省スペース、省電力の専用CPU「RP2040」を搭載していて、Arduino IDEや、MicroPythonで開発可能です。

しかも、Wi-FiとBluetoothが使用できるモジュールも搭載されているので、スタンドアロンでの稼働のみならず、他のマイコンと無線通信することが可能です。

 

今回の製作内容
2つの異なる色のプッシュボタンスイッチを使います。2つのうち、どちらが押されかを「Raspberry Pi  Pico W」で認識し、
押されたボタンと同じ色にLEDを点灯させます。

LEDは、調色可能なRGB対応LEDを使用します。

Raspberry Pi  Pico W」に接続する際の環境構成や、Arduino IDEでのプログラム例を紹介します。

ぜひ、皆さんも挑戦してみてくださいね!

この記事の前提となる「Raspberry Pi  Pico W」のはじめかたは、次の記事で紹介しています。

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スイッチが押されたことを認識するには?

今回はプッシュスイッチが押されたことを認識してみます。

プッシュボタンの仕組み

プッシュボタンスイッチは、右の列と左の列で導通しています。

ボタンを押すと、右と左の回路が導通するという仕組みです。

 

この回路のうち右か左の回路を「Raspberry Pi  Pico W」のGPIOに接続し、回路上の電圧の変化によってスイッチが押されたかを判断します。

この電圧の変化について説明する前に、デジタル回路アナログ回路による違いを次に説明します。

 

デジタル回路とアナログ回路の違い

デジタル回路

デジタル回路は、High、Lowの2種類の電圧だけを使用して回路を作ります。

HighはICやマイコンの電源電圧(Raspberry Pi Pico Wは「3.3V」)を使うことが多く、Lowは0Vを使う場合がほとんどです。

High/Lowの組み合わせやタイミングよく切り替えることで、信号を部品同士で通信することができます。

この信号が「デジタル信号」です。

アナログ回路

アナログ回路は常に変化する電圧を扱う回路です。

センサーなどは感知した状態により電圧が変化するものがおおくあります。

この変化はHigh や Lowの2種類ではなく、状態により電圧が何Vなのかという電圧値が重要になります。

この信号が「アナログ信号」です。

 

今回使うのはデジタル回路

今回は、プッシュボタンスイッチが押された場合と、そうでない場合の2つの状態を表すため、デジタル回路として作成します。

デジタル回路は、「High」と「Low」の2種類の状態を作る必要があります。

今回は「Raspberry Pi  Pico W」の電源電圧を使うので「3.3V」が「High」、「0V」が「Low」になります。

 

では、プッシュボタンスイッチのデジタル回路に接続する「Raspberry Pi  Pico W」のGPIOの電圧は「High」、「Low」のどちらでしょうか。

 

単純にプッシュボタンスイッチのデジタル回路につなげただけだと、GPIOの電圧は一定ではありません。

このままだと、「Raspberry Pi  Pico W」の中で「High」、「Low」を識別することがでません。

そのため「Raspberry Pi  Pico W」のGPIOにかかる電圧を一定にする必要があります。

 

そこでデジタル回路上に構成するのが「プルアップ抵抗」や「プルダウン抵抗」になります。

 

プルアップ/プルダウン抵抗

プルアップ抵抗、プルダウン抵抗のそれぞれの特徴と、今回のプッシュボタンスイッチを使った回路を説明します。

 

プルアップ抵抗とは

プッシュボタンスイッチは回路に電流を「流す」または「流さない」を切り替える部品ですので電圧を変化させる機能はありません。

これが無い場合、プッシュボタンスイッチを押していない時はGP16が繋がっていない状態になります。(この状態を「電圧が不定」といいます)

このような状態だと基本的には0Vで、周囲のノイズ等に応じて電圧がフラフラとした状態となります。

「電圧が不定」の状態を改善するために使用するのが「プルアップ抵抗」です。

プルアップ抵抗」は次のような回路図で実現できます。

Raspberry Pi  Pico W」の3.3V出力GPIOとGPIO16の回路上に、「3.3kΩ」の抵抗を配置します。

この状態だと、プッシュボタンスイッチが押されていない場合、GPIO16の電圧は「3.3V」になります。

 

先ほどの回路図と等価回路は次のようになります。

また、プッシュボタンスイッチOFF時の空気抵抗を「10TΩ」とすると、GPIO16における電圧(V)は、電圧の分圧の式から次のようになります。

プッシュボタンスイッチがONの場合、等価回路とGPIO16における電圧は次のようになります。

このように、「プルアップ抵抗」を使うと、プッシュボタンスイッチの状態によって次のような電圧の固定ができます。

プッシュボタンスイッチの状態 電圧値
押された 0V
押されていない 3.3V

 

 

 

プルダウン抵抗とは

プルダウン抵抗」は、「プルアップ抵抗」とは逆に、GND(接地)側に抵抗を置く方法です。

プッシュボタンスイッチの状態における電圧は、「プルアップ抵抗」の逆になります。

 

プルダウン抵抗」は次のような回路図で実現できます。

このように、「プルダウン抵抗」を使うと、プッシュボタンスイッチの状態によって次のような電圧の固定ができます。

プッシュボタンスイッチの状態 電圧値
押された 3.3V
押されていない 0V

 

 

今回の回路ではプルアップ抵抗を使用

前述したとおり、「プルアップ抵抗」や「プルダウン抵抗」を使えば「High」、「Low」の電圧を固定できます。

今回は、「プルアップ抵抗」を使用して「High」、「Low」の電圧を固定します。

プッシュボタンスイッチの状態 信号状態 電圧値
押された Low 0V
押されていない High 3.3V

 

 

押されたボタンによってLEDの色を変える

プッシュボタンスイッチが押された際に、LEDを光らせます。

ただのLEDを点灯させるのでもよいですが、せっかくなので、1つのLEDを押すボタンによって色を変えて点灯させるようにしてみます。

 

1つのLEDで表現する色を変えるには、信号線で色や輝度を変更できるRGB対応のLEDを使用します。

商品としては次のものになります。

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シリアルLED NeoPixelのスルーホール実装用LEDです。直径5mmの砲弾型。パッケージは半透明です。
RGB対応なので、信号線からの制御によって発光色を変えられます。
この商品の端子構成は次のようになっています。
端子名称
説明
Data in
信号線
5V
5V Vin(+)
GND
5V GND(ー)
Data out
※今回は使用せず。
複数個つなげる場合に使用します。

全体の回路構成

プッシュボタンスイッチを2つ(緑)と(青)を準備します。

2つのプッシュボタンスイッチ、「Raspberry Pi  Pico W」、RGB対応LEDを接続する回路を作成します。

回路は次のように構成しました。

 

プッシュボタンスイッチ(緑)が押されたかの取得は、GPIO16で行います。プッシュボタンスイッチ(青)はGPIO17です。

どちらのGPIOも「プルアップ抵抗」を構成しています。

これから組むプログラム内では、各GPIO(16、17)が「Low」になったことでプッシュボタンスイッチが押されたと判断します。

 

 

実際の回路構成

先ほど記載した回路をブレッドボード上で組み上げました。

実際のイメージは次の通りです。

 

ブレッドボード右側にある「Raspberry Pi Pico W」には、GPIOをわかりやすくする「GPIO Master」を取り付けています。

気になる方は、こちらからどうぞ。

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画像の左側にある電源供給用のモジュールでは、ブレッドボード上の左右の電圧を5Vと3.3Vで分けるため、ジャンパを調整しています。

参考にされる方はご注意ください。

 

(注意)
作成の際には、「Raspberry Pi Pico W」に接続する前に、信号電圧をテスターで確認してください。

 

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今回の構成に使用した部品は次の通りです。

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Raspberry Pi Pico Wのプログラミング

先ほど構成した回路を使用して、プッシュボタンスイッチが押されたら、スイッチの色にLEDを光らせるプログラムを作ります。

 

赤外線送受信用のライブラリを準備する

RGB対応LEDを使用するためにArduinoのライブラリ「Adafruit_NeoPixel」を使用します。

 GitHubのライブラリページはこちら(Adafruit_NeoPixel)

上記のライブラリは、Arduino IDEのライブラリマネージャでダウンロード、設定ができます。

ライブラリのインストールは、次の記事で紹介しています。

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プログラムを作成する

Arduino IDEを起動して、「ファイル」メニューから「新規ファイル」を選択し、表示されるスケッチに以下のように記述します。

 Arduino IDE スケッチ例

 Raspberry Pi Pico Wへの書き込み 

2回目以降

  1.  Raspberry Pi PicoをパソコンにUSB接続します。
  2.  Arduino IDEで前述のプログラムを記載して、 「ファイル」メニューから「名前を付けて保存」で任意の名前を付けて保存します。
  3. 「ツール」メニューから「ボード」情報を確認し、次のものを選択します。
    「Raspberry Pi Pico/RP2040」-「Raspberry Pi Pico W」
  4. 「シリアルポート」にマイコンを接続したCOMポートが指定されているかも確認します。
  5. 「ツール」メニューから「シリアルモニタ」を選択してシリアルモニタを起動します。(転送速度は「115200」です)
  6. 「スケッチ」メニューから「マイコンボードに書き込む」を選択します。

プログラム実行結果

電源をオンにし、書き込みが完了した後にプッシュボタンスイッチを押します。

押したスイッチの色と同じ色にLEDが光れば完成です。

編集後記

いかがだったでしょうか。

基本として押さえておくべきスイッチからの入力の処理方法をご説明しました。

Raspberry Pi Pico W」のプログラミングといえば、「microPython」と考えていましたが、Arduino IDEでプログラムできるとうれしいですね。

Raspberry Pi Pico W」と同じRP2040というチップを搭載している機器にも使えるので応用ができそうです。

記事は、以上になります。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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