接続できたということは、
インターネット上のサービスを使えるということだな。
インターネット上の情報を取得することや、
データのアップロードなどができる。
今回は、インターネット上の天気情報サービスから
天気情報を取得して表示してみるか!
すけろく ついに、国内でもRaspberry Pi Pico Wを手に入れたぞ! げんろく Wi-Fiモジュールがついているので、 国内の技適取得が必要だったからな。 すけろ[…]
記事内でご紹介する「Raspberry Pi Pico W」はこちら!
Raspberry Pi Pico W
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今回の目標
今回は、インターネット上のお天気情報サービスである「OpenWeather」から、住んでいる場所の現在の天気を取得して、シリアルモニターに出力します。
全体の構成
全体の構成は次のようになります。
処理の流れ
プログラム内での処理の流れは次の通りです
- Wi-Fiアクセスポイントへの接続
- 時刻同期する
- OpenWeatherへアクセスする際のURLを生成
- OpenWeatherへ接続しJSON形式データを取得
- JSON形式データから対象の値を取得
- シリアルモニターに出力
お天気情報サービス「OpenWeather」って何?
「OpenWeather」は、気象データの操作をより簡単にする、認知度の高い気象サービスを提供しています。
メリットとしては、次のように紹介されています。
私たちは24時間体制で何百万もの開発者と協力しており、これらのメリットは、複雑なエンタープライズシステムに至るまで、ほとんどのアプリケーションに適していると考えています。
すぐに使える気象製品のスペクトル
短期および長期の予測、歴史および観察
地球上の任意の場所
透明性のある価格設定とライセンス
当社の気象製品は、業界標準に準拠し、さまざまな種類のエンタープライズシステムと互換性のある高速で信頼性の高いAPIを介してアクセスできます。当社のすべての製品は、あらゆる場所に不可欠な気候変数を含んでいます。それに加えて、気象条件の影響を受ける産業に役立ついくつかの特別な製品があります。それらの中には、道路リスクと全国気象警報があります。
ー引用ー(https://openweathermap.org/guide)
簡単に言うと、「さまざまなシステムで利用できるように気象情報を提供するAPIを提供していますよ~」という感じです。
「API」とは、「Application Programming Interface」の頭文字です。簡単に言うと、「アプリケーションをプログラミングするためのインターフェース」です。インターフェイスとは、コンピュータ用語でいうと、「何か」と「何か」をつなぐものという意味を持ちます。ですので、プログラムとアプリケーション(ソフトウェア)をつなぐものを意味します。
今回使うOpenWeatherのAPIは、プログラムからOpenWeatherサービスに問い合わせを行いデータ取得をするインターフェイスとなります。
OpenWeatherを使う
では、「OpenWeather」を使ってみましょう。
以下に「OpenWeather」のサイトへのリンクを張っておきます。こちらからアクセスしてください。

APIキーを取得する
「OpenWeather」でAPIを利用するためには、APIキーというものを発行する必要があります。
取得するためには、次の作業を行う必要があります。
- アカウントの作成
- APIキーの取得
アカウントの作成
所要時間:5分程度

1
サイトの右上にある「Sign In」をクリックします。

2
サインイン画面上で「Create an Account」をクリックします。


UserName、Emailアドレス、パスワードを入力し、年齢確認などチェックしたら「Create Account」をクリックします。
4
設定したEmailアドレスにメールが来るので有効化します。
以上で、アカウント作成の作業は完了です。
APIキーの取得
所要時間:2分程度

サイトの右上にある「Sign In」をクリックして、作成したユーザーでログインします。
「API Keys」をクリックすると画面にKeyが表示されますので、赤線の部分をコピーします。
東京の天気を取得してみる
取得したAPIキーを使用して、東京の現在の天気を取得してみます。
東京の緯度(lat:35.6828387)と経度(lon:139.7594549)を指定して天気を取得します。
1 現在の天気を取得するためのAPIコマンドを作ります。
{API Key}の部分を、先ほど取得したAPIキーに差し替えてください。
https://api.openweathermap.org/data/2.5/weather?lat=35.6828387&lon=139.7594549&units=metric&lang=ja&appid={API Key}
2 ブラウザ(ChromeやEdgeなど)を開き、先ほど作ったAPIコマンドをURL入力部分に入力し、Enterキーを押します。
3 以下のようなJSON形式データが返ってくれば成功です。(天気なので、毎回データは変わります)
取得したJSON形式データを見てみる
では、「OpenWeather」から取得したJSON形式データを見てみましょう。
データの特徴
「OpenWeather」のデータは次の特徴があります。
- 気象条件によりデータがない場合がある(「データの詳細説明」の赤字部分)
- 時刻はUTC基準の時刻になる
- 温度はデフォルトではケルビン(0K=-273.15℃)で計算する
※リクエストに&units=metricを追加することで摂氏(℃)で取得することが可能
(例:294.47Kの場合、294.47-273.15=21.32℃) - リクエストに&lang=jaを追加することで、天気説明などが日本語化される
※マイコン側で確保するメモリは、気象条件や地点によるデータ値の変動と、赤字部分の要素増減を含めて考慮する必要があります。
データの詳細説明
データの各要素と値は次の通りです。
要素名 | 値 | 説明 |
coord | “lon”:139.7595, “lat”:35.6828 |
経度 緯度 |
weather | “id”:803, “main”:”Clouds”, “description”:”曇りがち”, “icon”:”04d” |
気象条件ID 気象パラメータのグループ(雨、雪、極端など) 指定言語による説明 天気アイコンのID |
base | “stations” | 内部パラメータ |
main | “temp”:14.95, “feels_like”:14.8, “temp_min”:13.84, “temp_max”:15.98, “pressure”:1019, “humidity”:47 “sea_level”: “grnd_level”: |
温度(単位:摂氏℃) 体感温度(単位:摂氏℃) 温度:最低(単位:摂氏℃) 温度:最高(単位:摂氏℃) 大気圧(単位:hPa) 湿度(%) 海面の大気圧(単位:hPa) 地上の大気圧(単位:hPa) |
visibility | 10000 | 視界(最大10㎞) |
wind | “speed”:3.09, “deg”:140 ”wind.gust”: |
風速(単位:m/s) 風向(度) 突風(単位m/s) |
clouds | “all”:75 | 曇り(単位%) |
rain | “rain.1h” “rain.3h” |
降雨量(過去1時間当たり)(単位㎜) 降雨量(過去3時間当たり)(単位㎜) |
snow | “snow.1h” “snow.3h” |
降雪量(過去1時間当たり)(単位㎜) 降雪量(過去3時間当たり)(単位㎜) |
dt | 1652243110 | データ計算時刻:UNIX(UTC) |
sys | “type”:1, “id”:8077, “message”: “country”:”JP”, “sunrise”:1652211585, “sunset”:1652261701 |
内部パラメータ 内部パラメータ 内部パラメータ 国コード(JPは日本) 日の出時刻:UNIX(UTC) 日の入り時刻:UNIX(UTC) |
timezone | 32400, | UTCから秒単位でシフトする ※日本時間(+9時間)を秒に直すと32400s |
id | 1861060 | 都市ID |
name | “日本” | 国名か都市名 |
cod | 200 | 内部パラメータ |
JSONを扱う際のメモリサイズを計算する
取得したJSON形式データを扱うためのメモリサイズを計算します。
計算には、過去記事でご紹介したArduinoのAssistantを使います。
メモリの計算方法は、次の記事で紹介しています。
すけろく Raspberry Pi Pico Wをインターネットに接続できたが インターネット上のサービスと連携させたいな。 げんろく それなら、インターネット上のサービスから データを取得する際に[…]
計算した結果、1024が妥当な感じですが、今回は倍の「2048」を、Arduino IDEで指定し、メモリを確保します。
Raspberry Pi Pico Wで現在の天気を表示してみよう
それでは、実際にプログラミングしてみましょう。
前述した、「OpenWeather」にhttpsリクエストを発行し、JSON形式のデータを取得します。
取得したJSONデータから天気情報を抜き出し、「Raspberry Pi Pico W」からシリアルモニタに情報を表示させてみます。
OpenWeatherのルート証明書を取得する
「OpenWeather」へのリクエストはhttpsなのでルート証明書をプログラム内に含める必要があります。
ルート証明書の取得方法は、次の記事で紹介しています。
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ライブラリを追加する
今回使うため、次のライブラリをインストールします。
使用する情報 | 設定値(バージョン) |
ライブラリ名 | ArduinoJSON (6.21.1) |
ライブラリのインストール手順については、次の記事を参考にしてください!
「Arduino IDE」では、使用する機能やセンサー、ボードを使用するプログラムで使用できる有効なライブラリが公開されています。 ライブラリを使用すると、効率的かつ品質を確保したプログラミングが可能です。 この記事では、Ar[…]
現在の天気情報表示プログラム
Arduino IDEを起動して、「ファイル」メニューから「新規ファイル」を選択し、表示されるスケッチに以下のように記述します。
ご自分の環境に合わせて値を修正してください。
(スケッチ例では、「”Please correct it to the value that suits your environment.”」と記載しています。)
項目名 | プログラム内の定義名(変数名) |
OpenWeatherのAPIキー |
const String Api_KEY
|
OpenWeatherのルート証明書 |
const char* ow_rootca
|
Arduino IDE スケッチ例
Raspberry Pi Pico Wへの書き込み
2回目以降
- Raspberry Pi PicoをパソコンにUSB接続します。
- Arduino IDEで前述のプログラムを記載して、 「ファイル」メニューから「名前を付けて保存」で任意の名前を付けて保存します。
- 「ツール」メニューから「ボード」情報を確認し、次のものを選択します。
「Raspberry Pi Pico/RP2040」-「Raspberry Pi Pico W」 - 「シリアルポート」にマイコンを接続したCOMポートが指定されているかも確認します。
- 「ツール」メニューから「シリアルモニタ」を選択してシリアルモニタを起動します。(転送速度は「9600」です)
- 「スケッチ」メニューから「マイコンボードに書き込む」を選択します。
プログラム実行結果
シリアルモニタ上に以下の通り表示されれば成功です。
Arduino IDE 2.xのシリアルモニタであれば、日本語も表示できるようですね!
Connecting to yourssid WiFi connected IP address: 192.xxx.xxx.xxx Current time: 2023-04-04 10:26:00 https://api.openweathermap.org/data/2.5/weather?lat=35.6828&lon=139.759&units=metric&lang=ja&appid=xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx [HTTPS] begin... [HTTPS] GET... [HTTPS] GET... code: 200 {"coord":{"lon":139.7595,"lat":35.6828},"weather":[{"id":800,"main":"Clear","description":"晴天","icon":"01d"}],"base":"stations","main":{"temp":16.11,"feels_like":15.03,"temp_min":14.98,"temp_max":16.74,"pressure":1026,"humidity":48},"visibility":10000,"wind":{"speed":3.6,"deg":70},"clouds":{"all":0},"dt":1680571032,"sys":{"type":2,"id":268395,"country":"JP","sunrise":1680553454,"sunset":1680599026},"timezone":32400,"id":1857654,"name":"東京都千代田区丸の内","cod":200} 天気ID: 800 天気概況: 晴天 気温: 16.11 気圧: 1026.00 湿度: 48.00 Disconnect from WiFi WiFi disconnected
編集後記
今回は、「OpenWeather」というインターネット上のお天気情報サービスから、天気情報をJSON形式データとして受け取りました。
そして、JSON形式データから、必要な情報を取り出し、シリアルモニタに表示することができました。
これで、インターネット上のサービスと連携した、「Raspberry Pi Pico W」のプログラムの基礎が完成しましたね。
「Raspberry Pi Pico W」のプログラミングといえば、「microPython」と考えていましたが、Arduino IDEでプログラムできるとうれしいです。
これで、他のマイコンと同じArduino IDEで開発できます!
「Raspberry Pi Pico W」と同じRP2040というチップを搭載している機器にも使えるので応用ができそうです。
今回の記事は以上になります。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
記事内でご紹介した「Raspberry Pi Pico W」はこちら!
Raspberry Pi Pico W
Arduino、C/C++、MicroPythonに対応している組み込み開発キットです。
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